考の証

要は健忘録

【積読日記】逆境を「アイディア」に変える企画術

 今回は久しぶりに本当に積んでた本を読んでみた。本当、積んだ期間が長くてなんで買ったのかきっかけを全く覚えていない。

 本書はひらかたパークの業績V字回復のきっかけとなった広告に携わった方が書かれており、広告をいかに真に効果のあるものとして世に出せるかといった内容となっている。確か、購入したときには書名と中身が面白いという話だけを見て買ってた気がするため、広告が主体の話とは思っていなかったが、内容そのものはそういったクリエイター以外にも役立つものになっているのではないだろうか。

 著者である河西氏は博報堂に勤められているが、入社して7年間は営業として働いており、広告作成を行うようなクリエイターではなかった。初めにで書かれているが、河西氏はその間に博報堂のクリエイティブ職となるために社内の適性試験を2回落第しており、3回目にしてようやく合格したとのことで、それがクリエイティブ職における発想力や企画力、アイディアといったものが先天的ではなく後天的に伸ばすことができるものであると述べている。
 実際、河西氏が本書で解説しているのは「広告を出す目的は何なのか」「その目的を達成するために必要なソリューションは何か」「そのソリューションを提供するための最適な広告形態は何か」という、言ってしまえば仕事のやり方にまで一般化できる内容となっている。広告とはクリエイティブなものである前に、顧客にとって何が目的で何が課題であるのか、そして広告でどう解決していきたいのかを考えることが大事である。ただ「広告として面白い」というのはクリエイターの自己満足そのもので、顧客に貢献できていなければそれは広告としては不合格である。実際、広告として面白く、賞を受賞したものでもその広告が例えば商品購入のような具体的な成果に紐づかないことも多々ある。これは広告を出すことによる結果というものが常に因果関係で結ばれているわけではないことが結果が伴わないことを許容する素地に確かになっているのかもしれない。一方で本書では「広告の最大の目的は売上・利益を増大させること」と定義し、それを達成するために広告をどう活用するのかを考え、得たい結果から逆算してアイディアを捻出することの重要性を述べている。

 この考え方は広告制作だけでなく、より一般的なビジネスの面でも同じことが言えると思う。仕事の目的を明確化せずになあなあで進めたものが成功した試しはほとんどなく、仕事の目的が明確でも手段を最適化しなければ同様の結果を生むだろう。こういった考え方は当たり前でありながら、しっかり管理して仕事を進めていくのは会社の風土や上司との関係、日々の業務量などが原因で難しいものであるとも思う。一方で、この目的と手段、課題といったものを整理する時間をしっかり取り、チームでのコンセンサスを得たうえで仕事を進めることは自身の業務への納得度も増すと思われるため、重要であると最近身に染みている。この本では最後に紹介してきた公式、Tipsのようなものを簡単にまとめたページがあって振り返りも楽にできるため、思いついたときにでも本書を開いてしっかりこの考え方を身に着けていきたいと思う。