考の証

要は健忘録

振り返りと「求められるもの」と「求めるもの」のお話

 先々週に見たHELLO WORLDの考察ブログ、どうやら一時期はGoogle検索の3番目ぐらいには出ていたようで、ブログを初めて以来すごいアクセス数になっていました。半年ぐらい前に書いたコードギアスのやつも結構反響あったみたいだけれど、HELLO WORLDは考察必須なSF映画ということでみんな調べていたみたいですね。すごい。映画見た後に原作小説も読んで大体自分の考察で訂正するところなくない?っていう謎の自信に溢れており、特に記事の更新等は考えていないです。


 でも、せっかくたくさんアクセスされたので、アクセス数ってやっぱり指数関数的に減少していくのかなって気になっていたことを調べてみました。その結果がこちら。

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記事投稿日数とアクセス数

 投稿から3日目が最もアクセス数が多かったので1,2日目の数字は消してみました。すると、月曜日→金曜日までは綺麗に指数関数の近似式に乗ってくれるんですね。ただ投稿8日目(土曜日)からはそれまでの近似式から外れて増えてますね。おそらく、映画を見て考察ブログを見ようした人の数が平日では大きく変動しない一方、土日ではその数が大きく増えることが原因でしょうか。だいたい予想通りの結果が得られて満足です。こういう話に詳しい人とどういう予測式書けばいいのか話せると凄い楽しそう。やっぱり仮説と実証の繰り返しこそが科学の真髄で、それが楽しいんですよね。


 さて、先週はアド・アストラとジョン・ウィック パラベラムの2本を見た訳ですが、同じ映画であっても客が求めるものが違えば評価が全然違うんだなと実感するばかり。

 アド・アストラはハードSFを装った家族愛に関する映画で、ストーリーは凹凸なく盛り上がりにかけるために「心拍数が80以上にならない」という作中のフレーズを使って酷評する人がいる一方、父親と息子、その息子と妻の関係から感動して好評している人もいるという感じで評価が二分されている。個人的には前者の感想で、作中のストーリーや設定などのあらが凄い気になってのめり込めなかった派です。チェーホフの銃がよく創作界隈では話に上がるけれど、やっぱりストーリーに関係のない話や設定は全てぶったぎっていったほうがいい。特に映画なんて2時間しか枠がない訳で、その中でストーリーと関係のない話をされても面白くないし、アド・アストラについて言えば必要なところだけを取れば30分くらいで終わりそうだし、そのおかげで宇宙の虚無を実感できる映画になっている。あとラストシーンのブラピのアレ、ちょっとあのプロット考えて通した人は反省してほしい。まあ、綺麗な宇宙のCGを観たい人が観ればいいんじゃないかな。

 対してジョン・ウィック。本作は3本目になる訳ですけど、こちらは言ってしまえばストーリーはどうでもいいんですよ。一作目なんて「亡くなった妻から送られた仔犬を殺し、愛車をパクったマフィアのバカ息子を殺すために引退した伝説の殺し屋がマフィアを潰す話」で、二作目は「マフィアを潰しておきながら闇社会に復帰する気のない伝説の殺し屋が、昔の誓約を楯に殺しを依頼してきたマフィアを潰す話」で、この三作目は「二作目で殺しが許されない殺し屋御用達のホテル内でマフィアのトップを殺したら追放されて全ての殺し屋から狙われる話」です。何言ってんだこいつ。まあ要はこの作品はキアヌ・リーヴス演じるジョン・ウィックのトンデモ暗殺芸を見る為だけのアクション映画なわけですね。正直、一作目からストーリーが冗長で詰まらなかったとは言え、ガンガン派手なアクションシーンがこれでもかと襲いかかってくるので、めちゃくちゃにはちゃめちゃに面白い映画です。凄い。この映画の何が凄いかって、ジョン・ウィックは必ず敵にヘッドショット入れるまで戦うし、敵も敵で腹とか肩に銃弾一発受けても普通に襲いかかってくるそのバイタリティのヤバさ。なんだこの世界。さらに作中世界の暗殺者の数が異常に多く、もはや全員が闇世界の住人なんだと思うし、街中で人が殺されても一般人が特に騒がない異常さがその錯覚に拍車をかけていく。一方で死んだ動物は最初のバカ息子が殺した仔犬だけで、それ以降死んでいない。むしろ、犬が殺されかけて激情してマフィア一つ潰しかけるぐらい愛犬家が多い。この世界、絶対に人より犬の方が命の価値が重い。そんなアクション映画なんですが、こちらはアクションを期待して観に言っている人の期待を全く裏切らないので評価が高い。中にはストーリーに苦言を呈している人もいるけど、母数的には少なくてみんなそんなこと分かっていながら、キアヌ・リーヴスの繰り広げるアクションに熱中している。


 この二作を比較すると、「監督が伝えたいこと」と「観客が作品に求めること」が合致しないとどんなに力を入れてもダメなんだなっていうのが凄い実感できる。そりゃ、肉料理を期待して入った店が魚料理しか出さない店だったらがっかりするよね。その点、最初に戻るけどHELLO WORLDなんか青春映画に見せかけたガチのハードSFだったから、逆にこれだけ好評価になっているっていうのは意外だとちょっと思っている。まあアニメで野崎まど脚本という点でそういうのを期待していった人が多いだろうし、そもそも3Dアニメの時点で見に行く層が限られていると思うのでそんなものかとも思う。